こんにちは!ポジオのタイ駐在日記、運営者の「ポジオ」です。
「微笑みの国」と称され、温暖な気候と親日的な国民性で世界中から愛されるタイ。リタイア後の移住先としても、若者の海外就職先としても、常にトップクラスの人気を誇っています。しかし、SNSやブログで見かける「月5万円で優雅な南国ライフ」「プール付きコンドミニアムで毎日がリゾート」といったキラキラした情報を鵜呑みにしてしまい、十分な準備なしに渡航して、「こんなはずじゃなかった…」と深い後悔に苛まれる日本人が後を絶たないのもまた事実です。
実際に私の周りでも、志半ばで帰国を決意したり、現地で身動きが取れなくなってしまったりするケースを見てきました。物価の上昇、予想外のトラブル、文化の壁、そして日本人同士の複雑な人間関係…。移住前に知っておくべき「不都合な真実」は山ほどあります。この記事では、これからタイ移住を検討しているあなたが同じ轍を踏まないよう、私の実体験や現地で見聞きしたリアルな失敗事例を包み隠さず、徹底的に深掘りしてお伝えします。ネガティブな情報こそ、最強のガイドブックになるはずです。
- タイ移住で多くの人が直面する深刻な資金不足や生活費高騰の現実
- 現地就職の厳しさやビザトラブルなど、仕事に関する具体的な失敗事例
- 大気汚染や医療費問題など、健康と安全を脅かす見落としがちなリスク
- 失敗や後悔を避けるために、渡航前から準備しておくべき具体的な対策と心構え
タイ移住の失敗談から見る悲惨な現実
「失敗談」は単なる他人の不幸話ではありません。そこには、移住生活を成功させるためのヒントが詰まっています。ここでは、実際にタイに移住した人々が直面した、特に深刻で悲惨な現実となりうる事例を5つのカテゴリーに分けて詳細に解説します。イメージ先行の移住がいかに危険か、その現実を直視していきましょう。
想定外の費用や物価高で資金不足
最も多く、そして生活に直結する切実な失敗談が「お金」に関する問題です。かつて「日本の3分の1の物価」と言われた時代はとうの昔に過ぎ去りました。もちろん、ローカルの屋台でガパオライスを食べれば50〜60バーツ(約200〜250円)で済みますし、BTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)などの公共交通機関も日本に比べれば安価です。しかし、日本人が「日本と同じような生活水準」を維持しようとした瞬間、コストは跳ね上がります。
まず、私たち日本人の食卓に欠かせない醤油、味噌、納豆、インスタント食品などは、タイではすべて「輸入品」扱いとなります。バンコクにはフジスーパーやドンドンドンキ(ドン・キホーテ)などがあり、日本の食材は容易に手に入りますが、その価格は日本の販売価格の1.5倍から3倍近くに設定されています。毎日日本食を自炊したり、日系の居酒屋で食事をしたりしていれば、食費は日本にいる時よりも高くなることさえあるのです。
さらに追い打ちをかけるのが、近年の急激な円安バーツ高とタイ国内のインフレです。数年前までは1バーツ=3円台前半でしたが、現在は4円台で推移することもあります(※為替レートは常に変動します)。日本円で貯金をしていて、それを毎月バーツに両替して生活する場合、為替の影響だけで資産価値が2〜3割目減りしているのと同じことです。加えて、バンコクの電気代も高騰しており、暑いからといって一日中エアコンをつけていると、単身でも月に数千バーツ(1万円以上)の請求が来ることも珍しくありません。
また、住居に関するトラブルも資金不足の要因となります。コンドミニアムの契約時には、通常家賃の2ヶ月分のデポジット(敷金)を預けますが、退去時に「壁に傷がある」「清掃費が必要」などと細かい難癖をつけられ、デポジットがほとんど返還されないというトラブルが頻発しています。これをあてにして次の住居費用や帰国費用を計算していると、痛い目を見ることになります。
| 費目 | ローカル生活水準 | 日本人標準生活水準 |
|---|---|---|
| 家賃 | 5,000〜10,000バーツ | 20,000〜50,000バーツ |
| 食費 | 6,000〜9,000バーツ | 15,000〜30,000バーツ |
| 光熱費 | 1,000〜2,000バーツ | 3,000〜5,000バーツ |
| 通信費 | 500バーツ | 1,000〜2,000バーツ |
初期費用の見積もりは甘くしないこと
移住初期は、生活用品の購入やビザの手続き、予期せぬ交際費などで出費がかさみます。「月10万円あれば余裕」といった古い情報を信じず、最低でも半年から1年は無収入でも暮らせるだけの十分な貯蓄を用意しておくのが鉄則です。
現地で仕事が見つからず困窮する
「とりあえず観光ビザで入国して、現地で仕事を探せばなんとかなるだろう」という楽観的な考えは、非常に危険な賭けです。確かにタイには日系企業が多く進出しており、日本人向けの求人も常に一定数は存在します。しかし、それは「誰でも簡単に採用される」という意味ではありません。
現地採用として働く場合、企業側が求めるのは「即戦力」です。ビジネスレベルの英語力やタイ語力、あるいは特定の業界での専門的な実務経験がなければ、書類選考すら通過できないことも多々あります。特に、20代であればポテンシャル採用の可能性もありますが、30代後半から40代以降で特別なスキルがない場合、就職活動は困難を極めます。
また、仮に仕事が見つかったとしても、給与条件が期待を下回るケースが少なくありません。現地採用の日本人の給与相場は、職種や経験にもよりますが、コールセンターなどで3万〜4万バーツ、営業職や事務職で5万〜8万バーツ程度が一般的です。ここから税金や社会保険料が引かれますし、日本のようなボーナスや退職金、充実した福利厚生が期待できない場合もあります。「日本で働くよりストレスがなくて楽そう」というイメージだけで転職すると、生活水準を大幅に落とさざるを得なくなり、貯金もできず、将来への不安ばかりが募る結果になりかねません。
さらに注意が必要なのはビザの問題です。タイでは外国人の就労規制が厳しく、労働許可証(ワークパーミット)なしで働くことは違法です。就職活動が長引き、観光ビザの期限が切れてしまうと、一度出国してビザを取り直さなければならず、その渡航費もバカになりません。最近では、ビザラン(ビザ更新のために近隣国へ出国してすぐ再入国すること)に対する取り締まりも強化されており、最悪の場合、入国拒否となるリスクさえあります。
キャリアの「断絶」リスクを考慮する
タイでの現地採用経験は、必ずしも日本帰国時の転職活動で高く評価されるとは限りません。「なぜタイに行ったのか」「そこで何を得たのか」を明確に語れなければ、単なる「キャリアの空白期間」と見なされる恐れもあります。今後のキャリアプランも含めて慎重に判断しましょう。
大気汚染や病気で体調を崩す
健康面での失敗談として、近年特に深刻化しているのが「PM2.5」による大気汚染問題です。タイ、特にバンコク周辺では、乾季にあたる11月から2月頃にかけて、大気汚染が極めて深刻なレベルに達します。空が白く霞み、高層ビル群が霞んで見えるほどの日は、健康な人でも目のかゆみ、喉の痛み、咳などの症状が出ることがあります。
「南国タイで青い空の下、健康的な生活を送る」というイメージを持っていた人にとって、この現実は大きなショックとなります。汚染がひどい時期は、窓を開けて換気をすることも、洗濯物を外に干すこともためらわれます。外出時にはPM2.5対応のマスクが手放せず、子供がいる家庭では外遊びを制限せざるを得ないなど、生活の質(QOL)が著しく低下します。呼吸器系に持病がある方やアレルギー体質の方は、移住前に医師と相談するか、汚染の少ない南部エリアなどを検討する必要があるでしょう。
また、熱帯特有の感染症や水事情による体調不良も侮れません。水道水が飲めないのはもちろんですが、飲食店で提供される氷や生野菜でお腹を壊すことは、在住者であっても時々起こります。さらに、蚊が媒介するデング熱は命に関わることもある危険な病気ですが、都市部でも感染リスクがあります。
そして忘れてはならないのが、医療費の問題です。タイの私立病院は、ホテルのような豪華な設備と日本語通訳サービスを提供しており、医療レベルも非常に高いですが、その分、医療費は驚くほど高額です。ちょっとした風邪で通院しただけで数千円〜1万円、虫垂炎(盲腸)の手術で数十万円、交通事故などで集中治療室に入れば数百万円の請求が来ることもあります。
海外旅行保険への加入は必須条件
現地の社会保険に加入している場合でも、カバー範囲が限られることがあります。クレジットカード付帯の保険は期間が短い(通常90日)ため、長期滞在の場合は必ず専用の医療保険に加入しておきましょう。「自分は健康だから大丈夫」という過信が、破産への入り口となります。
治安への油断から犯罪に巻き込まれる
「タイは微笑みの国だから安全」「親日国だから日本人に優しい」といったイメージだけで防犯意識を緩めてしまうのは非常に危険です。外務省のデータを見ても、タイにおける日本人の犯罪被害は後を絶ちません。確かに、銃犯罪や凶悪犯罪に巻き込まれる確率は欧米の一部地域に比べれば低いかもしれませんが、スリ、置き引き、ひったくりといった軽犯罪は日常的に発生しています。
特に注意が必要なのは、日本人をターゲットにした詐欺犯罪です。悲しいことに、異国の地で不安を抱えている日本人を騙すのが、同じ日本人であるケースが多々あります。「高利回りの投資案件がある」「ビザの手配を安く代行できるコネがある」「共同でビジネスを立ち上げないか」などと甘い言葉で近づき、信用させたところで大金を騙し取る手口です。「同じ日本人だから悪いことはしないだろう」という心理的な隙を突いてくるのです。
また、歓楽街でのトラブルも定番の失敗談です。ぼったくりバーで高額請求されたり、睡眠薬強盗(飲み物に薬を入れられて眠っている間に金品を奪われる)の被害に遭ったりする事例も報告されています。最近ではマッチングアプリを通じた投資詐欺(国際ロマンス詐欺)なども増えており、手口が巧妙化しています。
さらに、2022年に大麻が解禁されたことによる影響も無視できません(※2025年現在、規制再強化の動きもありますが、街中にはまだ販売店が多く存在します)。知らぬ間に大麻入りの食品を口にしてしまい体調を崩したり、トラブルに巻き込まれたりするリスクもあります。自分の身は自分で守るという強い意識が必要です。

狭い日本人社会の人間関係に疲れる
意外と知られていない、しかし多くの移住者を悩ませるのが「日本人コミュニティ」の人間関係です。バンコクには数万人の日本人が住んでいますが、生活圏や行動範囲は限られており、スクンビットエリアなどの日本人居住区は、ある意味で「巨大な村」のような状態になっています。
駐在員の奥様同士のコミュニティ(駐妻社会)、現地採用者のサークル、同じ趣味の集まりなど、様々なコミュニティが存在しますが、そこでは噂話が驚くべき速さで広まります。「どこどこの誰が不倫している」「あの人は会社の金を使い込んだらしい」といった根も葉もない噂が飛び交うこともあり、一度標的になると居心地が悪くなってしまいます。
また、日本社会特有の「同調圧力」や「マウンティング」も健在です。夫の会社の規模や役職、住んでいるコンドミニアムのグレード、子供が通う学校(日本人学校かインターナショナルスクールか)などで格付けし合うような空気に疲れ果ててしまう人もいます。「せっかくしがらみのない海外に来たはずなのに、日本にいる時以上に人間関係に気を使っている」という皮肉な状況に陥り、メンタルを病んで帰国を選ぶケースも少なくありません。
もちろん、素晴らしい出会いや助け合いもありますが、日本人同士の付き合いには適度な距離感を保つスキルが求められます。「日本人だから」といって無理に付き合う必要はありません。自分にとって心地よい距離感を見つけることが、精神衛生上非常に重要です。
タイ移住で失敗談のような後悔を避ける対策
ここまで、タイ移住のネガティブな側面ばかりを強調してきましたが、これらはすべて「現実」であり、決して脅かすためだけにお伝えしているわけではありません。これらのリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることで、タイ生活は本当に充実した素晴らしいものになります。ここからは、失敗談を教訓にした、後悔しないための具体的な対策と心構えについて解説します。
潔癖症や短気な人は後悔しやすい
移住を成功させるための第一歩は、自分自身の性格や適性を客観的に見極めることです。タイでの生活は、日本の「常識」が通じないことの連続です。まず、衛生観念の違いを受け入れられるかが大きなハードルとなります。
屋台での食事はタイ生活の醍醐味ですが、使った食器をバケツの水ですすぐだけだったり、食材が常温で放置されていたりするのは当たり前です。道端にはゴミが落ちており、夜になれば大きなネズミやゴキブリが走り回る姿を目にします。トイレも日本のようにどこでもウォシュレット完備でピカピカ、というわけにはいきません。紙を流せないトイレもまだ多く存在します。極度の潔癖症の方にとっては、外出すること自体がストレスになりかねず、行動範囲が高級デパートや日系施設のみに限定されてしまうでしょう。
また、タイ人の国民性を表す言葉に「マイペンライ(気にしない、問題ない)」があります。これは寛容さの表れでもありますが、日本人の感覚からすると「ルーズさ」や「いい加減さ」と映ることもあります。約束の時間に平気で遅れる、依頼した修理がいつまでたっても終わらない、店員さんが勤務中にスマホで動画を見ている、といったことは日常茶飯事です。
こうした事象にいちいちイライラし、「なんでちゃんとやらないんだ!」「日本ではありえない!」と怒ってばかりいると、自分自身が疲弊してしまいます。タイを変えることはできません。変わるべきは自分の受け止め方です。「まあ、ここはタイだから仕方ないか」と笑って流せるくらいの心の余裕と寛容さを持てるかどうかが、タイ生活を楽しめるかどうかの分かれ道となります。
老後の移住は医療費と孤独に備える
50歳以上の方が取得できる「リタイヤメントビザ」を利用して、老後をタイで過ごそうと考えている方は、現役世代以上に慎重な計画が必要です。最大の懸念事項はやはり健康問題です。年齢を重ねれば、予期せぬ病気や怪我のリスクは確実に高まります。
「自分は健康だ」と思っていても、環境の変化が引き金となって体調を崩すことはよくあります。万が一、脳卒中や心筋梗塞などで倒れた場合、高度な医療が必要となり、その費用は数百万円単位になる可能性があります。日本の国民健康保険は海外療養費制度を使えば一部還付されますが、全額をカバーできるわけではなく、手続きも煩雑です。タイ現地の医療保険に加入するか、十分な医療費予備費(最低でも300万円〜500万円程度)を確保しておく必要があります。
そしてもう一つ、見落としがちなのが「孤独」の問題です。会社勤めをしていれば自然と人と接する機会がありますが、リタイア後は自分から動かなければ誰とも話さない日が続いてしまいます。特に単身での移住や、配偶者に先立たれた場合、言葉の壁もあって社会から孤立してしまうリスクが高いです。
孤独を防ぐためには、日本人の趣味のサークル(ゴルフ、テニス、囲碁、県人会など)に参加したり、ボランティア活動を行ったりして、積極的に居場所を作ることが大切です。また、バンコク以外の地方都市(チェンマイやパタヤなど)に住む場合、日本語が通じる病院やコミュニティが限られるため、自分の語学力や体力に合わせて居住地を選ぶことも重要です。
| ビザの種類 | 対象年齢 | 主な条件 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| リタイヤメントビザ(Non-Immigrant O-Aなど) | 50歳以上 | 80万バーツ以上の預金または月6.5万バーツ以上の年金 | 就労不可。1年ごとの更新が必要。健康保険加入義務あり(種類による)。 |
| タイランドエリート(タイランド・プリビレッジ) | 年齢制限なし | 高額な会員費の支払い(90万バーツ〜) | 5年〜20年以上の長期滞在が可能。VIP待遇や入国時の優先レーンなどの特典あり。 |
| LTRビザ(Long Term Resident) | 富裕層・専門家 | 高い資産要件や収入要件(100万ドル以上の資産など) | 10年間の長期滞在が可能。税制優遇などのメリットがあるがハードルは高い。 |
ビザの条件は頻繁に変更されます
上記は一般的な例ですが、タイのビザ制度や取得要件は予告なく変更されることが多々あります。また、申請する大使館や領事館によっても必要書類が異なる場合があります。必ずタイ大使館の公式サイトや信頼できるビザ代行業者などで最新情報を確認してください。
女性は僧侶への接し方や服装に注意
タイで生活する上で、文化や宗教への理解とリスペクトは欠かせません。タイ国民の9割以上が仏教徒であり、仏教は生活の中心にあります。特に女性の移住者が知っておくべき重要なタブーの一つが、「女性は僧侶に触れてはいけない」という鉄の掟です。
タイの上座部仏教では、僧侶は厳しい戒律を守って修行しており、女性に触れる(触れられる)と、それまで積み重ねてきた徳や修行がすべて無になってしまうと信じられています。これは意図的でなくても、偶然触れてしまった場合も同様です。そのため、BTS(電車)やバスなどの公共交通機関では、僧侶専用の優先席が設けられていたり、僧侶が乗ってきたら近くの女性は席を立って距離を取ったりするのがマナーです。街中で托鉢をしている僧侶を見かけた際も、不用意に近づいたり、道を塞いだりしないよう注意しましょう。お布施を渡す際も、直接手渡しするのではなく、布の上や器の上に置くなどの作法があります。
また、寺院(ワット)を訪れる際の服装にも厳しいルールがあります。ショートパンツ、ミニスカート、キャミソール、タンクトップ、ダメージジーンズなど、肌の露出が多い服装では入場を断られます。サンダル履きも場所によってはNGとされることがあります。これは観光客だけでなく、在住者であっても同様です。
日常生活においても、あまりに露出度の高い服装でローカルな場所を歩くことは、性犯罪のリスクを高めるだけでなく、現地の人々から「マナーを知らない人」と白い目で見られる可能性があります。TPOに合わせた服装を心がけることは、自分の身を守るためでもあり、タイ文化への敬意を示すことにも繋がります。ソンクラーン(水かけ祭り)などのイベント時も、羽目を外しすぎて公序良俗に反する行為をしないよう注意が必要です。
英語だけでなくタイ語の基礎を学ぶ
「バンコクは国際都市だから、英語さえ話せれば生活には困らない」という話をよく耳にしますが、これは半分正解で、半分間違いです。確かに、スクンビットエリアなどの日本人や欧米人が多いエリアのホテル、デパート、高級レストランでは英語が通じます。しかし、一歩ローカルなエリアに足を踏み入れたり、私たちの生活を支えてくれるタクシー運転手、アパートの警備員、市場のおばちゃん、メイドさんとコミュニケーションを取ろうとしたりすると、英語が全く通じないという現実に直面します。
言葉が通じないことで生じるストレスやトラブルは、想像以上に大きなものです。例えば、タクシーで行き先を告げても伝わらずに見当違いの場所に連れて行かれたり、屋台で「辛くしないで(マイ・ペッ)」と伝えられずに激辛料理が出てきて食べられなかったりといった小さなイライラが積み重なります。さらに深刻なのは、トラブルに巻き込まれた時です。警察や役所の手続き、交通事故の現場などでは、タイ語ができないと圧倒的に不利な立場に立たされることがあります。相手が何を言っているかわからない不安感につけ込まれ、不当な要求を飲まされてしまうこともあるのです。
また、タイ語が話せないと、いつまでたっても「観光客(お客様)」扱いのままです。ローカル市場での買い物でも、タイ語で値段交渉ができれば現地の適正価格(ローカルプライス)で買えるものが、英語で話しかけた瞬間に外国人価格(ツーリストプライス)を提示されることは珍しくありません。「タイに住んでいるのに、タイのことを何も知らない外国人」と見なされると、ボッタクリのターゲットになりやすくなってしまうのです。
流暢に読み書きできるようになる必要はありませんが、少なくとも生活に必要な「サバイバルタイ語」を習得しておくことを強くおすすめします。数字、方向(右、左、真っ直ぐ)、基本的な挨拶、肯定・否定、そして買い物や食事で使う簡単なフレーズを覚えるだけでも、生活の質は劇的に向上します。何より、拙いタイ語でも一生懸命話そうとする姿勢を見せると、タイの人々は非常に喜び、親切にしてくれます(タイ語で「ナムジャイ(思いやり)」を感じる瞬間です)。
現在はYouTubeやアプリで無料でタイ語を学べるツールが充実していますし、現地にはたくさんのタイ語学校があります。語学学校に通えば、言葉を学ぶだけでなく、同じようにタイ語を学ぶ外国人や日本人の友人ができ、孤独感の解消にも繋がるというメリットもあります。言葉の壁を少しでも低くしておくことが、タイ移住の失敗を防ぐための強力な武器になります。
覚えておくと便利なサバイバルタイ語例
・サワディー・クラップ/カー(こんにちは)
・コップン・クラップ/カー(ありがとう)
・マイ・ペン・ライ(気にしない、大丈夫)
・アオ・アンニー(これください)
・タオライ?(いくらですか?)
・ヤーク・パイ〜(〜に行きたいです)
・チュアイ・ドゥアイ!(助けて!)
タイ移住の失敗談を参考に準備を徹底
ここまで、タイ移住に関する厳しい現実や失敗談を長々とお話ししてきました。「なんだか怖くなってきた」「自分には無理かもしれない」と不安に感じさせてしまったなら申し訳ありません。しかし、冒頭でもお伝えした通り、これらはすべて実際に起こり得るリスクであり、これらを知らずに夢だけで移住を決行してしまうことが最大の「失敗の原因」なのです。
逆に言えば、これらの失敗パターンを事前に把握し、資金計画を練り、健康管理に気を配り、文化や言語への理解を深めておけば、タイ移住はあなたの人生にとってかけがえのない素晴らしい経験になるはずです。タイという国は、多少の不便さやトラブルさえも笑い飛ばせるような、不思議な魅力とエネルギーに満ち溢れています。日本では感じられない開放感、人々の温かさ、多様な価値観に触れることで、人生観が変わったという人もたくさんいます。
失敗や後悔を避けるための最も効果的な対策は、「いきなり完全移住(退路を断つこと)をしない」ことです。会社を辞め、家を引き払い、住民票を抜いて片道切符で渡航する前に、まずは「お試し移住(ロングステイ)」をしてみることを強くおすすめします。1ヶ月程度、観光ビザの範囲内で、ホテルではなくサービスアパートメントやコンドミニアム(Airbnbなどを利用)を借りて、実際に生活してみるのです。
できれば、気候が良い乾季だけでなく、暑さが最も厳しい暑季(4月〜5月)や、雨ばかり降る雨季(6月〜10月)に滞在してみてください。毎日汗だくになりながら通勤してみたり、スコールで冠水した道路を歩いてみたり、ローカルの食事を続けてみたりすることで、「自分はこの環境で何年も暮らせるか?」という問いへの答えが自然と見えてくるはずです。そこで「やっぱり無理かも」と思えば、傷が浅いうちに撤退できますし、「それでも楽しい!」と思えれば、自信を持って本格的な移住準備に進むことができます。
また、情報収集もネットの情報(この記事も含めて)だけで完結させないでください。状況は刻一刻と変化しています。実際に現地に住んでいる人の生の声を聞いたり、信頼できる日系の不動産会社やビザエージェントに相談したりして、最新かつ正確な一次情報を得る努力を惜しまないでください。
最終的な決断は自分自身で
エージェントや他人の意見はあくまで参考です。最後は「自分がどうしたいか」「どんな生活を送りたいか」という軸を持って決断しましょう。準備さえしっかりしていれば、タイはあなたを温かく迎え入れてくれるはずです。
皆さんのタイ移住計画が、一時の感情や誤った情報に流されることなく、現実を見据えた堅実なものとなり、結果として「タイに来て本当によかった!」と心から思える素晴らしい日々につながることを、心より応援しています。サワディー!


