夫のタイ駐在に帯同するにあたり、タイ 駐在 妻 仕事というキーワードで検索している方は多いでしょう。「タイの駐在妻は働ける?」という疑問は、キャリアを継続したい方にとって切実な問題です。しかし、夫の会社が仕事 禁止の場合や、ビザの問題で働けないという話も聞きます。また、独特なヒエラルキーが存在し、「駐妻 うざい」といったネガティブなイメージが先行することも。現地で働く場合、どのような職種があり、年収はどの程度なのか、また子育てとの両立や確保できる時間、リモートワークの可能性など、知りたい情報は山積みです。この記事では、タイで駐在妻が仕事をするためのルールや現実的な探し方について、詳しく解説します。
- 駐在妻がタイで働くための基本的なルール
- 仕事を探す際に関わるビザや会社の規定
- 現地採用の主な職種や想定される年収
- 子育てやリモートワークとの両立の可能性
タイ駐在妻の仕事:基本ルール
- タイの駐在妻は働ける?
- 夫の会社の「仕事禁止」ルール
- 働くためのビザとワークパーミット
- 駐妻コミュニティのヒエラルキー
- 「駐妻うざい」は本当?その背景
タイの駐在妻は働ける?

結論から言えば、タイで駐在妻が働くことは可能です。ただし、それにはいくつかの重要な条件をクリアしなければなりません。
多くの場合、駐在妻は夫の帯同家族として「帯同ビザ(Non-Immigrant Oビザ)」でタイに入国しています。このビザは、タイ国内での就労を許可するものではありません。たとえボランティア活動であっても、無償であっても、本来は労働とみなされる活動は制限されているとされています。
タイで正規に働くためには、まず現地で就職先を見つける必要があります。そして、その就職先の企業にスポンサーになってもらい、就労ビザ(Non-Immigrant Bビザ)を取得し、さらに労働許可証(ワークパーミット)を取得する、というステップを踏むことが必須です。
働くための基本的な流れ
- 夫の会社の規定を確認する(就労許可の確認)
- タイ国内で就職活動を行う
- 就職先(スポンサー企業)から内定を得る
- 企業を通じて就労ビザとワークパーミットを申請・取得する
- 就労ビザに切り替えて就業開始
夫の会社の「仕事禁止」ルール

タイで仕事を探し始める前に、真っ先に確認すべき最も重要なことが、夫の会社の規定です。
企業によっては、駐在員の配偶者が現地で就労することを明確に「仕事禁止」としている場合があります。これは、税務上の問題やリスク回避、あるいは会社の福利厚生の仕組みに関わるためです。
また、就労自体を禁止していなくても、妻が働く(=夫の扶養から外れる)ことによって、これまで受けていた手厚いサポートが受けられなくなるケースがほとんどです。
扶養から外れると失う可能性のあるサポート例
- 会社負担の家賃補助
- 家族全員をカバーする医療保険
- 一時帰国費用の支給
- その他、各種手当
これらのサポートがなくなる影響は非常に大きいため、現地就職で得られる収入と、失うサポートを天秤にかけて慎重に判断する必要があります。必ず就職活動を始める前に、夫を通して会社の規定を詳細に確認してください。
働くためのビザとワークパーミット
前述の通り、タイで働くには就労ビザ(Non-Immigrant B)と労働許可証(ワークパーミット)の取得が不可欠です。
この2つはセットで考えられており、ワークパーミットは「タイ国内で特定の企業で働くこと」を許可するものであり、就労ビザはそのための滞在許可となります。
一般的な流れは以下の通りです。
| ステップ1 | 就職先の内定 | タイ国内の企業(日系企業またはローカル企業)から内定を受けます。この企業がビザとワークパーミットのスポンサーとなります。 |
|---|---|---|
| ステップ2 | 就労ビザ(Bビザ)の申請 | 企業が必要書類を準備し、ビザを申請します。ここで注意が必要なのは、タイ国内で帯同ビザ(Oビザ)から就労ビザ(Bビザ)への切り替えが認められていないケースが多いことです。 |
| ステップ3 | 第三国でのビザ取得 | 多くの場合、一度タイ国外(シンガポール、ラオス、日本など)に出て、現地のタイ大使館・領事館で就労ビザ(Bビザ)を申請・取得し、そのビザでタイに再入国する必要があります。 |
| ステップ4 | ワークパーミットの申請 | Bビザでタイに入国した後、労働省に労働許可証(ワークパーミット)を申請し、取得します。これが手元に届いて初めて、正規の就労が可能となります。 |
なお、これらのビザやワークパーミットは、基本的にアルバイトやパートタイムの雇用形態では取得が困難です。そのため、タイでの現地就職は「正社員(フルタイム)」が基本となると考えておくのが現実的です。
駐妻コミュニティのヒエラルキー

「タイ 駐在 妻」と検索すると、しばしば「ヒエラルキー」という言葉が関連して出てきます。これは、バンコクに限らず、世界中の日本人駐在員コミュニティで聞かれることのある話です。
具体的には、夫の会社の規模や業界、役職、あるいは居住しているコンドミニアムのグレード、子どもの通うインターナショナルスクールや幼稚園などで、見えない序列やグループが形成されることがある、と言われています。
夫の立場がそのまま妻のコミュニティ内での立場に反映されるような雰囲気を感じ、窮屈な思いをする可能性はゼロではありません。
ただ、これはあくまでコミュニティの性質によります。もちろん、そうした序列とは無関係に、フラットな友人関係を築いている方も大勢います。現地で働くことを選ぶのは、こうしたコミュニティとは異なる「社会とのつながり」を求める一つの方法とも言えるでしょう。
「駐妻うざい」は本当?その背景
インターネット上などで「駐妻うざい」といったネガティブな言葉を目にすることがあります。これは、駐在妻という立場に対する一部の偏ったイメージが先行しているためと考えられます。
背景としては、以下のような要因が挙げられます。
- 夫の会社の福利厚生により、経済的に恵まれた生活(高級コンドミニアム、アヤさんの雇用、頻繁なランチ会など)を送っているように見えること。
- その様子がSNSなどで過度に発信されることへの反発。
- キャリアを中断し、社会とのつながりが希薄になることで、視野が狭くなっている(と見られてしまう)こと。
もちろん、これはあくまで一部のイメージに過ぎません。実際には、高学歴であったり、日本で豊富なビジネス経験を積んできたりした方も多く、「駐妻は人材の宝庫」とも言われています。帯同期間中に語学や資格の勉強に励み、新たなスキルを身につける方も少なくありません。
働くことを選択する駐在妻は、こうしたネガティブなイメージを払拭し、自分自身のキャリアや社会とのつながりを再構築したいという強い意志を持っている場合が多いです。
タイ駐在妻の仕事:探し方と現実
- 現地採用の主な職種とは
- 想定される年収と福利厚生
- フルタイム以外の働き方と時間
- リモートワークは可能か
- 子育てとの両立はできる?
- タイで駐在妻が仕事を見つける道
現地採用の主な職種とは

駐在妻がタイで現地就職する場合、どのような職種が多いのでしょうか。タイ語や英語がビジネスレベルでなくても応募可能な求人は、主に日系企業向けのポジションが中心となります。
最も求人数が多いとされるのは、製造業の営業職(日本人窓口)です。タイには多くの日系製造業が進出しており、既存顧客のサポートや社内調整役として、日本語がネイティブであることが強みとなります。
その他の職種としては、以下のようなものが挙げられます。
- カスタマーサポート、コールセンター
- 日本人向けの秘書、総務、事務
- WEBマーケティング、SNS運用
- 旅行会社や飲食店のコーディネーター
一方で、広報PRや人事、経理などの専門職や管理職ポジションは、求人数が限られる傾向にあります。また、応募できても「オーバースペック」としてミスマッチになるケースもあり、希望する職種と現実の求人状況にギャップを感じる可能性は考慮しておく必要があります。
想定される年収と福利厚生
タイで現地就職する際、最も注意すべき点の一つが給与水準と福利厚生です。駐在員の夫とは待遇が全く異なる「現地採用」としての契約になります。
給与水準は、あくまでタイの現地水準がベースとなります。日本でのキャリアや経験が考慮されることもありますが、日本で得ていた給与と同等額、あるいはそれ以上を期待するのは難しいのが現実です。
また、福利厚生については、夫の扶養から外れることになるため、自分自身で管理しなければなりません。
| 項目 | 駐在員(夫)の待遇 | 現地採用(駐在妻)の待遇 |
|---|---|---|
| 給与水準 | 日本基準 + 海外手当 | タイの現地基準 |
| 家賃補助 | 会社負担(全額または一部) | 原則なし(交渉次第) |
| 医療保険 | 手厚い海外駐在員保険(家族カバー) | 扶養から外れる。タイの社会保険+会社の民間保険(要確認) |
| 一時帰国費用 | 会社負担(年1〜2回) | 原則なし |
| ビザ・WP | 会社が全て手配 | 就職先企業が手配(費用負担は要確認) |
就職先を探す際は、給与額だけでなく、民間の医療保険(グループ保険)に加入できるかどうかは、非常に重要な確認ポイントとなります。
フルタイム以外の働き方と時間

「子育てと両立したいので、時短勤務やパートタイムで働きたい」と考える方も多いかもしれませんが、タイでの実現は難しいのが現状です。
理由は、就労ビザとワークパーミットの取得が前提となるためです。これらの公的許可は、フルタイムの正社員雇用を基本として発行されます。アルバイトやパートタイムの雇用形態では、ビザのスポンサーになることが難しいのです。
また、タイの労働慣行として、日本のような「時短勤務(時短正社員)」といった概念は一般的ではありません。小さい子どもがいる場合でも、基本的にはフルタイム(例:8時〜17時など)での勤務が求められることが多いでしょう。
フリーランスという選択肢は?
個人事業主(フリーランス)として働く道も、タイでは非常にハードルが高いとされています。タイで事業を行うには、多額の資本金や、タイ人を一定数雇用しなければならないといった厳しい規定があるためです。駐在妻が個人でこれらの条件をクリアするのは現実的ではありません。
リモートワークは可能か
働き方の選択肢として、リモートワークを希望する方もいるでしょう。これにはいくつかのパターンが考えられます。
1. タイ国内企業の現地採用としてリモートワーク
これは、就職先企業の方針によります。タイ法人に所属し、就労ビザとワークパーミットを取得した上で、働く場所が自宅(リモート)であるケースです。コロナ禍を経てリモートワークを導入する企業も増えており、基本は在宅勤務で、会議の際など必要に応じて出社する、といった柔軟な働き方ができる可能性はあります。
2. 日本の企業の仕事をリモートワーク
これは最も注意が必要なパターンです。タイに居住(帯同ビザで滞在)しながら、日本の企業と契約し、リモートで働いて日本円で報酬を得るケースです。これはタイの法律上、「タイ国内で労働している」とみなされる可能性があり、就労ビザとワークパーミットがない状態では不法就労にあたるリスクがあります。
正規のルールとしては、たとえ日本の仕事であっても、タイ国内で働く以上はタイでの労働許可と納税が必要となります。安易に「リモートだから大丈夫」と判断するのは危険です。
子育てとの両立はできる?
フルタイム勤務が基本となるタイで、小さいお子さんがいる場合にどうやって子育てと両立するか。その鍵を握るのが「アヤさん(お手伝いさん)」の存在です。
タイでは、比較的安価にアヤさん(メイドさん)を雇用することができます。駐在妻が現地就職する場合、このアヤさんに掃除や洗濯といった家事全般、さらには子どものお世話(シッター業務)をサポートしてもらうのが一般的です。
例えば、以下のようなサポートが考えられます。
- 日中の子どものケア(子どもが学校に行くまで)
- 学校や習い事の送迎(自宅まで送迎バスが来る場合も多い)
- 母親の勤務中の家事全般(掃除、洗濯、アイロンがけ)
- 夕食の準備、買い物
日本でワーキングマザーをする場合と比較して、家事の負担を大幅に軽減できる点は大きなメリットです。アヤさんのサポートをうまく活用することで、フルタイム勤務と子育てを両立しやすい環境を構築できる可能性があります。ただし、当然ながらアヤさんの雇用費用が発生するため、自身の給与と支出のバランスを考える必要があります。
タイで駐在妻が仕事を見つける道

タイで駐在妻が仕事を見つけるための要点、ルール、そして現実について、最後にリスト形式でまとめます。
- タイ駐在妻の仕事探しはまず夫の会社の規定確認から
- 配偶者の就労を禁止している会社もあるため注意
- 就労が許可されても家賃補助などの待遇が失われる場合が多い
- 駐在妻が通常持つ帯同ビザ(Oビザ)のままでは就労不可
- 正規に働くには就労ビザ(Bビザ)とワークパーミットの取得が必須
- ビザ取得のためには現地就職先(スポンサー企業)の内定が必要
- ビザ切り替えはタイ国外(第三国)で行う必要がある場合が多い
- 雇用形態は「現地採用」となり駐在員待遇とは異なる
- 給与水準はタイの現地基準となり日本より下がる可能性が高い
- 求人は日系企業の営業職や事務職が中心
- 希望する専門職の求人は少ない傾向にある
- 日本のような時短勤務の概念は一般的ではない
- ビザ取得の都合上フルタイム勤務が基本となる
- 子育てとの両立にはアヤさん(お手伝いさん)の活用が鍵
- リモートワークは企業方針により可能だが限定的
- 日本の仕事をタイでリモートするのはビザの問題に注意
- 人材エージェントへの登録が一般的な仕事の探し方

