タイ人の平均寿命の現状は?過去からの推移と男女差を解説【まとめ】

タイ生活

タイの平均寿命について、最新の動向に関心をお持ちでしょうか。「タイ人は長寿ですか?」という疑問や、将来的な予測として2025年の数値、あるいは都市部であるバンコクの平均寿命は?といった具体的な情報を探している方も多いかもしれません。

タイの平均寿命の推移をみてみると、男性と女性で寿命に差があることがわかります。また、時代ととにもに移り変わる死因 ランキングや、日常生活の質に関わる健康寿命、さらには近年の自殺率といった要因も、平均寿命を考える上で重要なポイントです。

この記事では、タイの平均寿命が短いのはなぜですか?という疑問にも触れつつ、タイ 平均 寿命に関する最新データと背景を詳しく解説します。

    • タイの平均寿命の最新データと将来の予測
    • 平均寿命における男女差や健康寿命との違い
    • 時代と共に変化したタイ人の死因ランキング
    • 平均寿命に影響を与える社会的・環境的要因

タイ 平均 寿命の現状と近年の動向

  • タイの平均寿命の推移
  • タイ人は長寿ですか?
  • 2025年の平均寿命予測
  • 女性の平均寿命データ
  • 男性の平均寿命データ
  • バンコクの平均寿命は?

タイの平均寿命の推移

タイの平均寿命は、長期的に見ると著しく延びています。世界銀行のデータによれば、2000年には72歳でしたが、2022年には80歳に達したと報告されています。医療の進歩や公衆衛生の改善が大きく寄与していると考えられます。

一方で、WHO(世界保健機関)が2022年に発表したデータでは、タイの平均寿命は77.7歳とされています。このように、統計データや調査機関によって数値が異なる場合がありますが、いずれにしても上昇傾向にあることは共通しています。

近年の平均寿命の動向を以下にまとめます。

平均寿命(全体) 男性 女性 データ出所
1960年 約52.6歳 データベース情報に基づく
2000年 72歳 世界銀行(データベース情報)
2022年 80歳 世界銀行(データベース情報)
2022年 77.7歳 WHO(データベース情報)
2023年 76.41歳 72.16歳 80.86歳 データベース情報に基づく

日本との比較
ちなみに、2022年のWHOデータによると、日本の平均寿命は84.3歳で世界第1位です。タイは世界第47位となっており、日本と比較すると平均寿命にはまだ差があることがわかります。

タイ人は長寿ですか?

「タイ人は長寿か」という問いに対しては、「世界的に見れば中位クラスだが、急速に長寿化が進んでいる」と答えるのが適切でしょう。

前述の通り、WHOの2022年ランキングでは世界47位(平均寿命77.7歳)であり、最長寿国である日本(84.3歳)や他の先進国と比較すると、まだ「長寿国」と呼ぶには早いかもしれません。

しかし、1960年代の平均寿命が50歳代前半だったことを考えると、この半世紀あまりでの「寿命の延び」は非常に著しいものがあります。国民皆保険制度(「30バーツ医療政策」)の導入などにより、医療へのアクセスが飛躍的に改善したことが大きな要因として挙げられます。

タイの食文化と長寿

タイ料理は、その健康的な側面も注目されています。タイ料理には、パクチーやレモングラス、カミメボウキなどの香草(ハーブ)や、ウコン、唐辛子などの香辛料がふんだんに使われます。

これらの食材には、体の機能を調整したり、消化を促進したりするといわれる成分が含まれており、タイの人々の健康維持に役立っている可能性があります。

トムヤンクンのようなスープは、辛味、酸味、甘味、そしてハーブの香りが複雑に絡み合っています。こうした多彩な味覚を組み合わせる食文化が、タイの活力を支える一つの要因かもしれませんね。

2025年の平均寿命予測

タイの平均寿命は、今後も緩やかに延びていくと予測されています。公開されている情報によれば、2025年におけるタイの平均寿命は、約78.10歳に達すると見込まれています。

高齢化が進む中で、医療体制のさらなる充実や、生活習慣病の予防といった健康政策が、今後の平均寿命の動向を左右する鍵となりそうです。

女性の平均寿命データ

タイにおいても、他の多くの国と同様に、女性の平均寿命は男性を上回る傾向が続いています。

2023年のデータでは、タイ人女性の平均寿命は80.86歳でした。これは、同年の男性の平均寿命(72.16歳)と比較して8年以上長く、タイ人女性が比較的長生きであるこ
とを示しています。

男性の平均寿命データ

前述の通り、2023年におけるタイ人男性の平均寿命は72.16歳です。これは同年の女性(80.86歳)と比較すると、大きな差があります。

この男女差の背景には、後述する死因の違いも影響していると考えられます。例えば、歴史的に見ても交通事故や暴力といった死因は、男性の割合が高い傾向がありました。現代においても、喫煙率や飲酒率の違い、あるいは特定の職業に伴うリスクなどが、男女の平均寿命の差に関連している可能性があります。

バンコクの平均寿命は?

「首都バンコクの平均寿命」に限定した公式な統計データを見つけるのは難しいのが現状です。

一般的に、バンコクのような大都市は、地方に比べて医療アクセスが良く、所得水準も高い傾向にあります。このため、平均寿命もタイ全体の平均より高いのではないかと推測されます。

しかし、一方で都市部特有の問題も存在します。

都市部のリスク要因
近年、バンコクではPM2.5などによる大気汚染が深刻な問題となっています。ある調査では、大気汚染の悪化によってタイ人の平均寿命が短縮している可能性が指摘されており、特に都市部で生活する人々の健康への影響が懸念されています。

また、タイ国内では都市部と農村部との間に経済格差が存在することも事実です。医療サービスや公衆衛生の質における地域差が、平均寿命に影響を与えている可能性も考えられます。

タイ 平均 寿命に影響を与える要因

  • 移り変わる死因 ランキング
  • タイの平均寿命が短いのはなぜですか?
  • 健康寿命とタイの食文化
  • 近年の自殺率の傾向
  • タイ 平均 寿命の今後の見通し

移り変わる死因 ランキング

タイの平均寿命が延びてきた背景には、死亡原因(死因)の大きな変化があります。WHOのデータに基づくと、1990年と2019年の死因トップ5は以下のように移り変わりました。

順位 1990年の死因 2019年の死因
1位 交通事故 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)
2位 下気道感染症(気管支炎、肺炎など) 脳卒中
3位 脳卒中 下気道感染症
4位 暴力 (Violence) 内分泌障害(糖尿病など)
5位 周産期死亡 交通事故
※WHOのデータをもとにSBCS作成(データベース情報)

交通事故と暴力の減少

1990年には、死因の1位が「交通事故」4位が「暴力」でした。これは当時のタイの社会状況を反映しており、交通インフラの未整備や治安の問題が、人々の命を脅かす大きな要因だったことを示しています。

実際、1985年のデータでは「暴力」が死因の1位だった時代もあるほどです。しかし、2000年以降は「暴力」がトップ5から消え、2019年には「交通事故」も5位まで順位を下げています。これは、経済発展に伴う社会の安定や、自動車の安全性能の向上が寄与していると考えられます。

HIV/AIDSの蔓延と対策

2000年代初頭には、別の深刻な問題が浮上しました。データベース情報によると、2000年に5位だったHIV/AIDSが、2002年には死因の1位になっています。

これは当時、エイズの蔓延が大きな社会問題となっていたことを示しています。タイ政府はエイズ治療薬の配布など、強力な対策を講じました。こうした努力の結果、HIV/AIDSによる死亡者は劇的に減少し、現在では死因の上位から姿を消しています。

現在の死因(2024年)

WHOの長期データとは別に、タイ保健省が公表している直近のデータ(2024年)では、死因の1位は「老衰」となっています。これは、病気ではなく天寿を全うする人が最も多いことを意味し、タイが長寿社会へと移行している証拠とも言えます。

なお、病気としての死因では「心不全」が1位です。ちなみに、日本では「癌(がん)」が死因の1位ですが、タイの同データでは癌は9位(老衰を除く)となっており、死因の構造が日本とは異なる点も興味深いところです。

タイの平均寿命が短いのはなぜですか?

「タイの平均寿命が(日本などと比べて)短いのはなぜですか?」という疑問には、複数の要因が考えられます。過去のデータと現在の社会状況から、以下の3点が指摘できます。

1. 過去の深刻な死因

前述の通り、1990年代まで「交通事故」「暴力」が死因の上位を占めていました。また、2000年代には「HIV/AIDS」が猛威を振るいました。これらは、先進国では比較的少ない「防ぎ得た死」であり、これらの要因が過去の平均寿命を押し下げる大きな原因となっていました。

2. 経済格差と社会保障

タイ国内には、都市部と農村部の経済格差が存在します。農村部では所得水準が低い傾向にあり、高齢者の貯蓄が不十分である可能性や、社会保障制度がまだ十分に整備されていないという指摘があります(ジェトロなどの調査による)。

医療へのアクセスや栄養状態の格差が、平均寿命の地域差、ひいては国全体の平均寿命に影響を与えている可能性があります。

3. 生活習慣病と環境問題

近年、死因の上位が虚血性心疾患(心筋梗塞など)や脳卒中、糖尿病といった生活習慣病にシフトしています。これは、経済発展に伴う食生活の変化(高カロリー・高脂肪食の増加)などが背景にあると考えられます。

また、前述したバンコクなどの大気汚染問題も、呼吸器疾患や循環器疾患のリスクを高め、平均寿命に悪影響を与える要因として懸念されています。

健康寿命とタイの食文化

平均寿命と共に注目されるのが「健康寿命」です。健康寿命とは、「心身ともに健康な状態で自立した生活を送ることができる期間」を指します。

経済産業省の「ヘルスケア国際展開ウェブサイト」によると、タイの平均寿命が77.7歳であるのに対し、健康寿命は68.3歳とされています(データ時期不明)。

つまり、平均して約9.4年間は、日常生活において何らかの医療や介護を必要とする可能性がある期間、ということになります。

この健康寿命を延ばす鍵の一つが、やはり「食文化」です。

タイ料理には、パームシュガーの「甘味」、マナオ(ライム)の「酸味」、唐辛子(プリック)の「辛味」が複雑に組み合わさっています。

  • マナオ(ライイン): 疲労回復効果が期待されるクエン酸や、美肌・ストレス軽減に役立つとされるビタミンCが豊富です。
  • 唐辛子(プリック): 辛味成分のカプサイシンが消化促進や食欲増進を助けるといわれています。また、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンも含まれます。
  • ハーブ類: パクチーやレモングラス、コブミカンの葉などは、料理に香りをつけるだけでなく、様々な栄養素を含んでいます。

タイ料理の注意点
多くのメリットがある一方で、タイ料理にはナンプラー(魚醤)による塩分や、ココナッツミルクによる脂質、砂糖による糖分が多めに使われる傾向もあります。辛味や酸味、甘味のバランスが取れた健康的な食事である反面、生活習慣病のリスクとなる側面も持ち合わせているため、バランスの取れた摂取が重要です。

近年の自殺率の傾向

平均寿命に影響を与えるもう一つの社会的な要因として、自殺率の動向があります。

タイ保健省精神衛生局(DMH)の報告(2023年)によると、タイにおける自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は、近年上昇傾向にあります。WHOの過去のデータ(2020年発表)では、タイの自殺率は14.4人で、東南アジアで最も高いという報告もありました。

近年の具体的な推移は以下の通りです。

自殺死亡率(人口10万人あたり)
2018年 6.3
2019年 6.32
2020年 6.64
2021年 7.38
2022年 7.97
(参照:バンコク週報 2023年9月11日)

このように自殺率が徐々に上昇している背景には、経済的な問題や人間関係の悩みなど、様々な社会的ストレスが関係していると指摘されています。こうしたメンタルヘルスの問題への対策も、今後の平均寿命に影響を与える重要な課題です。

タイ 平均 寿命の今後の見通し

この記事では、タイの平均寿命に関する様々なデータと、それに影響を与える要因について解説しました。最後に、本記事の要点をリスト形式でまとめます。

  • タイの平均寿命は長期的に上昇傾向にある
  • 2000年の72歳から2022年には80歳に達したというデータがある(世界銀行)
  • WHOの2022年データでは平均寿命77.7歳で世界47位
  • 2025年の平均寿命は約78.10歳と予測されている
  • 2023年のデータでは女性の平均寿命が80.86歳
  • 2023年のデータでは男性の平均寿命が72.16歳で男女差は大きい
  • バンコク限定の平均寿命データは明確ではない
  • 都市部では大気汚染が寿命に影響する可能性が指摘されている
  • 1990年代の死因上位は交通事故や暴力だった
  • 2002年にはHIV/AIDSが死因の1位となったが対策により激減した
  • 2024年の死因1位は老衰、病気では心不全が1位
  • 平均寿命が(日本比で)短い背景には過去の死因や経済格差がある
  • 平均寿命77.7歳に対し健康寿命は68.3歳と約9.4年の差がある
  • タイ料理のハーブやスパイスは健康維持に寄与する可能性がある
  • 一方で塩分や脂質、糖分の過剰摂取は生活習慣病のリスクとなる
  • タイの自殺率は近年上昇傾向にあり2022年は7.97(人口10万対)
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