転職活動において、面接官がチェックしているのは話す内容だけではありません。身だしなみや持ち物といった視覚情報も、合否を左右する重要な要素です。ここでは、社会人としてのマナーを押さえつつ、自分自身の使い勝手も考慮したカバンの選び方を、基本から男女別のポイントまで詳しく解説していきます。
面接に適したカバンの基本的な選び方
面接に持参するカバン選びにおいて最も重要なのは、「清潔感」と「ビジネスシーンへの調和」です。主役はあくまで応募者本人であり、カバンが悪目立ちすることは避けなければなりません。
基本的には、装飾が極力少ないシンプルなデザインを選びましょう。素材については、ビジネスシーンで許容される範囲が以前より広がっていますが、それぞれの特性を理解して選ぶことが大切です。本革や合皮のものは高級感があり、落ち着いた大人の印象を与えてくれます。一方で、高品質なナイロンやポリエステル素材は軽量で機能的であり、IT業界やクリエイティブ職などでは違和感なく受け入れられています。
色は黒、紺(ネイビー)、茶色といったベーシックカラーが無難です。特に迷った場合は、自分のスーツや靴の色と合わせると、全体のコーディネートに統一感が生まれ、洗練された印象になります。

| 素材 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 本革(レザー) | 高級感・重厚感があり、誠実な印象を与える。耐久性が高い。 | 重量がある。雨に弱く、定期的なメンテナンスが必要。 |
| 合成皮革(PU) | 本革に近い見た目で雨や汚れに強い。手入れが簡単。 | 経年劣化で表面が剥がれることがあるため、使用前の確認が必須。 |
| ナイロン | 軽量で機能的。ポケットが多く収納力が高い。 | 安価なものは型崩れしやすく、カジュアルに見えるリスクがある。 |
選び方のポイント
迷ったら「黒の合皮」または「高品質ナイロン」で、金具などの装飾が目立たないものを選ぶのが、最も失敗の少ない選択です。
転職面接で避けたいカバンのNG例とデザイン

普段の通勤では許容されているデザインでも、面接という改まった場では避けるべきカバンが存在します。「これくらい大丈夫だろう」という油断が、面接官に「TPOを理解していない」というネガティブな印象を与えかねません。
具体的には、高級ブランドのロゴが全面に入ったモノグラム柄などは、「個人の主張が強すぎる」と判断されるリスクがあります。また、アパレル業界などを除き、赤や黄色といった原色に近い派手な色、迷彩柄などのカジュアルなデザインも避けるべきです。
さらに見落としがちなのが、「カバンの状態(劣化)」です。どんなに良いブランドのカバンでも、持ち手がボロボロに剥げていたり、四隅が擦り切れていたりすると、清潔感に欠けるためマイナス評価に直結します。清潔感はビジネススキルの基本ですので、メンテナンスが行き届いていないアイテムは使用を控えましょう。
こんなカバンは要注意!NGリスト
- 一目でブランド品だとわかるロゴや柄が入ったもの
- アウトドア用の大きなリュックサック
- ボディバッグやクラッチバッグ
- 中身が透けて見えるビニールやメッシュ素材
- 自立せず、床に置くとクタッと倒れてしまう柔らかいカバン
A4サイズが入る自立型の鞄が求められる理由

機能面において絶対に譲れない条件が2つあります。それは「A4サイズ対応」と「自立すること」です。
面接の現場では、履歴書や職務経歴書を提出したり、逆に会社案内や求人票などの資料を受け取ったりする場面が頻繁に発生します。ビジネス書類の標準サイズはA4ですので、これを折らずにスムーズに出し入れできるサイズ感は必須です。カバンが小さくて書類を無理やり押し込んだり、二つ折りにしたりしてしまうと、それだけで「書類を大切に扱わない」「段取りが悪い」という印象を与えてしまいます。
また、「自立型」であることも極めて重要です。面接中はカバンを足元の床に置くのが基本マナーですが、このときカバンが倒れてしまうと、見た目がだらしないだけでなく、足の踏み場に困ったり、必要な書類をサッと取り出せなかったりします。底鋲(びょう)が付いていて、マチ(厚み)がしっかりあるタイプを選ぶと、床に置いたときも安定して美しい姿勢を保てます。
男性向け:転職面接におすすめの鞄と注意点

基本は手持ちのブリーフケース
男性の場合、手持ちタイプの「ブリーフケース」や「ビジネスバッグ」を選ぶのが王道です。色は黒か濃紺を選んでおけば、どんな色のスーツにも合わせやすく失敗がありません。素材は、金融や商社など堅い業界なら革製、ITやベンチャーなど少し柔軟な業界ならナイロン製でも問題ないでしょう。
ショルダーベルトの扱いに注意
最近のビジネスバッグは、2WAYや3WAYでショルダーベルトが付いているタイプも多いですよね。通勤時は両手が空いて便利ですが、面接会場に入る前にはベルトを外すか、バッグの中にしまって完全に「手持ちスタイル」にするのがマナーです。肩から下げたまま入室すると、どうしてもカジュアルで横着な印象に見えてしまうことがあるので注意が必要です。ベルトがぶら下がったままだと、お辞儀をしたときに床に付いてしまうこともあり、スマートではありません。
ワンポイントアドバイス
靴とベルト、そしてカバンの色を統一すると、洗練されたビジネスマンの雰囲気がグッと増します。例えば「黒の靴・黒のベルト・黒のカバン」で揃えるのが基本です。
女性向け:デザインと機能性を両立した鞄の特徴
A4トートバッグが最適解
女性の場合は、男性よりもカバンのデザインの選択肢が広い傾向にありますが、やはり基本は「A4が入るトートバッグ型」がおすすめです。色は黒や紺に加え、ベージュや茶色、キャメルなどの落ち着いたトーンも好印象です。派手なチャームやスカーフなどは外し、シンプルさを心がけましょう。
肩掛けと手持ちの使い分け
女性は化粧ポーチや予備のストッキングなど、どうしても持ち物が多くなりがちですよね。そのため、マチが広くて収納力があり、肩掛けができるハンドルの長さがあるものだと移動中も楽ちんです。ただし、面接官の前では肩から下ろし、手に持つか腕にかけるようにすると上品に見えます。入室する直前に肩から外し、手で持って入るのが美しい所作のポイントです。
リュックやトートバックは面接でOK?
近年は「ビジネスリュック」で通勤するスタイルが定着しており、市民権を得てきています。しかし、転職の面接という改まった場では、やはりリュックは避けたほうが無難だというのが一般的な見解です。
特に歴史のある企業や、銀行、ホテル、不動産といった堅い業界の場合、リュック=カジュアルと捉えられる可能性は否定できません。「機能的だからいいじゃないか」という意見もあるとは思いますが、面接は「減点方式」で見られることも多いため、不要なリスクを避けるという意味でも、面接当日は手持ちのビジネスバッグを選ぶのがベターかなと私は思います。トートバッグに関しては、男性の場合はカジュアルに見えやすいため、革製のきちんとしたもの以外は避けたほうが良いでしょう。女性の場合はトート型が標準的ですので問題ありません。
転職面接時の鞄に関するマナーと運用術
カバン選びと同じくらい大切なのが、当日の「扱い方」です。どんなに高価で良いカバンを持っていても、置き方や持ち方が雑だと、「ガサツな人だな」と印象を損ねてしまいます。ここでは、面接会場での具体的な振る舞いについて確認していきましょう。
面接会場でのカバンの置き方のマナー
面接室に通され、「どうぞお掛けください」と勧められた後、カバンをどこに置くか迷ったことはありませんか?正解は「自分が座る椅子の横(床の上)」です。
基本的には利き手側の足元に置くと、筆記用具や書類を出し入れしやすくてスムーズですね。カバンが自分の足に当たらないよう、椅子の脚に添わせるように置くと邪魔になりません。絶対にやってはいけないのが、空いている隣の椅子の上に置いたり、膝の上に抱えたまま面接を受けることです。これらはマナー違反とされることが多いので気をつけましょう。先ほど「自立型」をおすすめしたのは、この床に置くシーンでカバンが倒れず、スマートに見せるためでもあります。
入退室時におけるカバンのスマートな扱い方

面接の第一印象は入室の瞬間に決まると言っても過言ではありません。入室時は、ドアを開け閉めする必要があるため、カバンは利き手と反対の手で持つのが基本です。そうすれば、利き手でスムーズにドアノブを操作したり、入室後の「失礼いたします」のお辞儀をしたりできますよね。
退室の際も、立ち上がってから「本日はありがとうございました」とお辞儀をする前に、カバンをしっかりと持ち直すことを忘れずに。焦ってカバンを引きずるように持ったり、ドアの前でもたついたりしないよう、普段から片手でカバンを持つ動作に慣れておくと良いかもしれません。男性であれば体の脇にピシッと添えるように持ち、女性であれば体の前で両手で持つ(提げる)スタイルも丁寧な印象を与えます。
持ち物収納の工夫と効率的な整理術
面接中に「履歴書を出してください」と言われて、カバンの中をガサゴソと探すのは避けたいですよね。スマートに対応するためにも、カバンの中身は整理整頓しておきましょう。
重要な書類は必ずクリアファイルに入れ、折れ曲がらないようにします。また、筆記用具やスマホ、ハンカチなどはすぐに取り出せるポケットに入れておくと便利です。私は、万が一のために予備のマスクや折りたたみ傘、モバイルバッテリーなども入れておくようにしています。ただし、荷物が多くなりすぎてカバンがパンパンに膨らんでいると見栄えが悪いので、不要なものは持ち歩かない工夫も必要ですね。
面接当日の持ち物チェックリスト
- A4クリアファイル(履歴書・職務経歴書の予備、求人票のコピー)
- 筆記用具(ボールペン、メモ帳)
- ハンカチ・ティッシュ
- スマートフォン・モバイルバッテリー
- 折りたたみ傘(天候による)
- 身だしなみグッズ(手鏡、整髪料、予備のストッキングなど)
- 印鑑(交通費精算などで必要な場合があるため念のため)
長く使える鞄の選び方とブランド紹介
せっかく購入するなら、転職活動が終わった後も長く使えるものが良いですよね。耐久性とコストパフォーマンスを考えると、いくつかの定番ブランドがあります。
男性であれば、日本の「ポーター(Porter)」は作りがしっかりしており、ビジネスマンからの信頼も厚くおすすめです。また、「サムソナイト(Samsonite)」や「エース(ACE)」などのバッグメーカーは、機能性を追求した軽量なモデルが多く、営業職などで荷物が多い方にも適しています。女性であれば、「ロンシャン(Longchamp)」のナイロントートなどは軽くて丈夫で、カラーバリエーションも豊富なので、通勤バッグとして重宝します。ハイブランドである必要はありませんが、ある程度しっかりした作りのものを選んでおくと、就職後も長く相棒として活躍してくれますよ。
リクルートバッグを転職面接で使うのは?
新卒の就職活動で使っていた、いわゆる「リクルートバッグ」を転職活動で使っても良いのでしょうか?結論から言うと「NGではないが、積極的にはおすすめもしない」といったところです。
リクルートバッグは黒の無地で機能的ですが、どうしても「新卒」「学生」というフレッシュすぎる印象を与えてしまいがちです。特に20代後半や30代の方の場合、社会人経験を積んだ即戦力としての転職活動ですから、もう少し落ち着いたビジネスバッグを持ったほうが、頼りがいのある雰囲気を演出できるかなと思います。ただし、カバンにお金をかけられない場合や、第二新卒での転職でまだカバンが綺麗な状態であれば、使ってもマナー違反にはなりません。その場合は、学生時代のキーホルダーなどを外してシンプルに使うようにしましょう。
好印象を与えるための転職面接における鞄の最終確認
最後に、面接直前のチェックポイントをお伝えします。会場に入る前に、カバンのファスナーはしっかり閉まっていますか?口が開いたままだと、中身が丸見えでだらしない印象を与えてしまいます。
また、雨の日などはカバンの底が泥ハネなどで汚れていることもあるので、ハンカチやティッシュでサッと拭いてから入室する心遣いができると素敵ですね。たかがカバン、されどカバン。細部まで気を配れる姿勢は、きっと面接官にも伝わるはずです。自信を持って面接に挑めるよう、足元の準備もしっかり整えていきましょう!
まとめ:転職面接の鞄選びで大切なこと
転職面接における鞄選びは、単なる荷物入れではなく「ビジネスマナー」の一部です。清潔感のある自立型の鞄を選び、当日は床に置くなどのマナーを守ることで、面接官に安心感を与えることができます。A4サイズが入る機能性と、自分自身が自信を持って持てるデザインを両立させて、内定を勝ち取りましょう!


